感想
見て良かった。不評だったので見ない方が良いかと思ったが挑戦して正解だった。
ジョーカーの映画は 1 が傑作でありきれいな終わり方だったので、続編を作ったところで蛇足にしかならないだろうと思っていた。しかしいフォリアドゥを見てその考えは間違っていたと気付かされた。
展開
正直これ以外の続編があり得るのかと思えるほどに納得のいく展開だった。1 の続きでジョーカーを作るとなればジョーカーを脱獄させるのが王道だろう。
しかしジョーカーはそんなありきたりなヴィランではない。であるならば監獄と裁判所だけであとは妄想シーンという今回の構成は素晴らしかったと思う。ジョーカーとしての尊厳を最後まで守ったのだから。
キャラクター
アーサーはいわゆる弱者男性であるが、とてもリアリティのある弱者男性が描かれていたと思う。そしてまレディーガガ演じるハーレイもこれぞ女性というキャラクターだった。
ちょっと優しくされただけで好きになってしまい、好きと言われたらその人が世界の中心になってしまう。裁判で母親の日記を朗読されるシーンではアーサーの心情がありありと伝わり、とても心が痛かった。あの屈辱はとても受け入れられないだろう。そして受け入れられないということこそ、アーサーはまともな人間だったということの証明でもある。まともな感受性があるからこそ、あの屈辱を耐えることはできなかったのだろう。
一方でハーレイも好きな人に振り向いてもらうためなら、平気で嘘をついたりするなどよくいる(悪)女のパターンである。場当たり的な嘘(放火など)をつき、その嘘がばれるとさらに嘘(妊娠)を重ねるなどは典型的な例だと思う。
1との対比
1 ではヴィランとして完成されていたジョーカー。ジョーカーは何を考えているかわからない、何をしでかすかわからないというイメージを植え付けた。しかし、2 の登場人物アーサーとハーレイはどこにでもいる弱者男性とどこにでもいる恋する女だった。このあたりの対比が印象に残った映画だった。
ヒットしなかった理由
最後に 1 はヒットしたのに 2 がヒットしなかった理由の 1 つとして、2 はまた見たいと思いたくなるような作品ではなかった点があると思う。良い作品ではあるのだが、2 回目を見るにはあまりにつらすぎる。そんな映画だった。